メイン | 2007年11月 »

2007年08月 アーカイブ

2007年08月28日

競売不動産


競売不動産とは


 不動産競売とは、債務を弁済することができなくなった人が所有するマンション・戸建て住宅・ビルなどの不動産を地方裁判所が差し押さえて、少しでも高く買ってくれる人に売却し、受け取った代金を法律で決められた優先順位に従って債務の弁済にあてる手続きのことです。その手続きにかけられている不動産を競売不動産といいます。

 競売に似た言葉で公売があります。国税や地方税を滞納したときに税務当局が差し押さえて強制的に売却する制度で、入札を行うなど似ていますが、これには裁判所は関与しません。

 不動産競売には、抵当権者のような担保権利者が申し立てをすることによって始まる「任意競売」と、勝訴判決や公正証書を持っている人が、相手の所有財産から不動産を選び出して競売の申し立てをすることによって始まる「強制競売」がありますが、入札手続きをはじめとした裁判所の手続きについて、購入する立場からの違いはありません。

 不動産競売は、ふつうの不動産売買と異なり、債権者や抵当権者の申し立てにより裁判所が一方的に手続きをとっていくことになりますので、多くの場合、所有者としてはその不動産を手放したくないのに強制的に売却させられることになります。

 そのため、普通の不動産売買であれば、売主である不動産所有者は、買ってもらうために積極的に建物の内部を案内し、購入希望者に物件を気に入ってもらえるように振舞うのですが、競売となると不本意な売却なので、そんな気持ちには到底ならないのです。

競売不動産(2)


競売不動産の発生


 競売不動産は、次のような原因によって発生しています。

■ 住宅ローンを金融機関などで組み、頭金を支払ってやっと自分の土地や建物を所有し登記にまでこぎつけたが、バブル経済の崩壊や景気後退、経済構造による不況などによる倒産

■ 支払不能、債務保証の焦げ付き、関連会社の倒産による連鎖倒産

■ 大黒柱たる所有者の病気、失業などによって毎月のローンの支払いが停滞し、再三の納入催促にも応じられなくなった債務者所有の不動産が差し押さえられて競売にかけられる

■ 親子、親族、知人間のやむを得ない義理のために連帯保証を引き受けた結果、その保証した債権を実行される

■ 遺産分割や共有物件の分割など当事者間で協議が調わない場合、または破産会社の清算のための競売


民事執行法では裁判所から判決をとって、その判決に基づいて執行するのが強制執行であり、抵当権を設定し登記をしていた不動産について、ローンの支払いなどを停滞したために、債権者がその抵当権を実行するために不動産を競売して抵当権の目的たる債権を回収するのを、「担保権の実行」といいます。

 民事執行法では、条例の配列として強制執行についての手続きを基準として規定し、担保権の実行の場合は、これを準用するという形式をとっています。

 ですが、不動産競売に参加する人にとっては、両者をさほど区別して考える必要はなく、法規上にはこのような区別もあるという程度に受け止めましょう。

不動産の価額と最低売却価額


適正な価額


 最低売却価額と適正価額とを関連付けることで最低売却価額の価格としての位置づけがわかり、競売物件に対する経済的な標的が自然と浮かび上がります。

 競売不動産は、適正な価額で売却しなければいけないという立法趣旨は明確ですが、ではそのような文章が条文のなかのどこに明記されているのかと言えば、法とその規則のなかには見当たらないようです。

 このために、この適正な価額としての最低売却価額の解説は、各種の注釈、概説、解説、研究書のいずれのなかにも明解なものがなく、法の立法趣旨や関係条文などからの帰納的説明に終始しているのみで、その守備範囲に差があることを示唆しているようにも思われます。

 適正な価額による最低売却価額のなかの適正な価額とは、民事執行法規則30条7号の「評価額の算出の過程の条項」と、同法60条1項での「執行裁判所は評価人の評価に基づいて最低売却価額を定めなければならない」との条文を受けています。

 そして評価人は、なるべく不動産鑑定士であることが望ましいとする取扱いによって関連規定を充足させて、評価の客観的な適正化を図ることによって、密度の高い評価書の作成を保障させ、間接的に最低売却価額の適正化を打ち出しています。

 評価上の適正な価額や正常な価格とは何か、また、不動産につけられている価格とは何かという一般的な素朴な問題が浮かび上がります。

 不動産の価格には次のようなものがあります。実勢価格、公示価格、基準地価格、路線価などと、限りなくあげられ、一物一価の経済法則は土地価格には適用されない存在となります。

 これでは土地の価格は、学問的な範囲のなかに収まらない職人的手法のようなものと考えられる存在となります。だからといって、土地の評価が概観的な評価に止まってはいけないことは言うまでもありません。

不動産の価額と最低売却価額(2)


地価公示価格・基準地価格


 地価公示法は、土地取引価格の目安として公的機関が標準地の正常な価格を調査して、定期的に公示する制度となりました。これが、地価の急激な騰落の歯止めとなり、またそのための取引価格の規準ともなるという目的のもとに実施されています。

 土地利用計画法は、地価公示法によって公示価格を取引の指標とする場合には、地価公示価格を規準として行うものとして定めています。

 したがって毎年1月1日付で地価公示価格が公示され、さらに毎年7月1日付で都道府県知事が地価公示と同じような目的で、土地取引の規制を適正、円滑に実施するために基準地を設定して、その価格を公告することになります。

 基準地は標準地の地価の指標としての役割りを補充し、両者あいまって全国各地域にわたって設定地点を網羅しています。ただ、これだけでは十分に土地取引の指標としての効果をあげているとは言いがたいところに欠点があると言えます。

 しかし、これらの標準地や基準地に近接した土地の状況が類似している地域なら、一般の人も簡単に利用でき、これらから簡単に比較できて、その土地価格の算定は可能です。

 一般の人も標準地や基準地に近接した近隣地区の土地は容易に比較算定する方法があります。国土庁土地局地価調査課監修による「土地価格比準表の手引き」と「土地価格比準表」を参照して地価は算定できるようになっていますし、簡易比準表も添付されているので、簡単に比較ができます。

固定資産税と相続税路線価の評価額


固定資産税・相続税路線価


 自治省は、固定資産税課税の均衡化と適正化を図るためには従来から行っていた精通者による算定価格では間に合わなくなったので、平成6年の評価替えから、地価公示価格の7割程度を目標にして固定資産税評価額を引き上げました。

 ですが、この評価額は従来通り3年ごとに改定されることになっています。これに伴って大蔵省の相続税路線価についても、平成6年から公的土地評価の均衡化と適正化の推進のために、相続税評価との均衡にも配慮しながら、地価公示価格の水準の8割程度を目標として評価の均衡を図ることになりました。

 相続税路線価とは、市街地内にある宅地について、相続税などの公的評価の基準とするために路線価ごとに、その路線に面する宅地1㎡当たりの価格を定めて、その道路に面する宅地をこの路線価から評価しようとするものです。

 従来から固定資産税課税評価額・相続税路線価の評価額と地価公示価格との全国的統一化や均衡化が叫ばれていましたが、ようやく均衡化と統一化が達せられました。地価公示価格が昭和44年に成立してから、ここまで来るのに40年以上も経過しています。

 これはその制度の問題よりも、その根源にある官僚行政の縄張り根性の根強さに問題があるように思われます。同じような税制の事案でありながら、固定資産税課税評価額は、地価公示価格の7割、路線価は地価公示価格の8割であるというところに、大蔵省と自治省の間の力関係のようなものが垣間見られるような気がします。

 ただ、固定資産税課税評価額は、各宅地ごとに地価公示価格で評価しているので、評価替えの年ではこの評価額を7割で割戻しをすれば、一筆ごとの地価公示の評価額が逆算させられることになりました。また、路線価も8割で割り戻して、地価公示価格の水準を知る事ができます。

競売物件が安いのは


競売市場についての特殊性


 競売不動産が競売だからといって完全な自由市場というわけではありません。これについては、競売不動産ないし競売市場に関連する特殊性があります。例としては、以下のようなことがあげられます。

●競売不動産の事前の下見が困難

 競売不動産だからといって、建物などに無断で内部に立ち入ることはできません。ですが、市区町村や登記所などでの一般的調査は許される限り可能です。

●事後的な保証はないことになっている

 例えば建物が思ったよりひどく老朽化していたとか、石積、塀などに危険性があることが、事後に判明した、また入居者の立退きなどに困難性があった、土地の地積に多少の相違が見られたなどです。

 ただ、これらについては閲覧資料にある程度まで記述されているので参考になります。なお、落札後のアフターケアの問題については、法の定めるところによって、手軽に異議の申し立てや執行抗告によって、解決できる制度があります。

●売買の方法が法定化されている

 新民事執行法では、換価の適正化を図るために執行裁判所の裁量で入札、または競り売りの方法が選択でき、これらの方法で買受けの申出がない場合は、入札や競り売り以外の売却方法によることが考えられています。

●保証金を提供しなければいけない

 一般の不動産売買では売買契約が成立したときに手付金として売買代金の10%~20%程度の内入れをしますが、民事執行法では入札参加の場合の保証として、通常、最低売却価額の20%を保証金として提供するように決められています。

 この保証金は、入札に参加する場合の買受申出の保証として、入札書提出と同時に提供しなければいけません。


 以上のように、競売不動産の執行にはデメリットもありますが、メリットもあります。そのような減価要因は、合理的に理由がある場合には、減価理由があるものとして減価すべきとする傾向が強くなりました。

競売物件が安いのは(2)


物件の買受けができるのは


 不動産の取引の場合でも同じですが、その取引の基礎となる決まりをないがしろにした取引は、後から取り消されることになって、思わぬ損をすることになったり、全くの無駄となることもあります。そのための条件としては、

○ まず、満20歳以上の成年であること。しかし、これにはその法定代理人の同意を得たり、あるいは許可を得た場合は例外となるので、それをよく知っておく必要があります。

準禁治産者、禁治産者の場合にも保佐人や後見人の同意を必要とします。ですから、未成年、準禁治産者、禁治産者の場合は、独立して買受けの申し出をすることはできません。同意や代理などが必要となります。

○ 競売物件の債務者は、その物件の買受けの申出をすることはできません。

○ 農地の競売では、買受申出人は県知事、または農業委員会の許可を得たことの証明書が必要です。

○ 競売場での秩序の維持のための制限

法律は以下のような者に対しては、競売場に入ることを制限し、または場内から退場させ、または買受けの申出をさせないことができるように規定しています。

 1、他の者の買受けの申出を妨げた者

   競売場内やその周囲で暴行、脅迫やいつわりなどによって、他人の買受けの申出を妨害して、執行官に認められた場合の実例としては、占有屋などが挙げられます。

 2、不当に価額を引き下げるために連合した者

   一般に言われている談合です。談合とは、競売や入札のときに特定の者を売買人や落札人にするため、事前に話し合いをして価額を決めたり、不参加を決めたりして、公正な価額の決定を妨げて不当な利益を得させるものを指し、これは刑法上談合罪となります。

 3、執行官の指示に従わなかった者

   競売場の執行主宰者である執行官は、競売場内の売却を平穏に、順序良く、確実に、公正に執行ができるように事項をいろいろと指示することができます。

競売の最低競売価額


最低競売価額の変遷


 競売不動産や競売市場には、いろいろとデメリットもあり、このような特殊性を勘案して時価よりも低めに評価することも已むを得ないとする考え方が、抬頭してきました。

 昭和54年の民事執行法の発足当時は、旧法時代の時価評価主義と債権者の債権額重視主義との傾向に沿って、それに相応した適正価額を評価してきました。民事執行法では最低売却価額が決定され、売却公告がなされれば、その物件の売却が決まるまでは随意にその価額を変更するわけにはいきません。

 昭和58年ごろより、当時の経済情勢を反映して飛躍的に売却件数が増加し、それに伴って未処理件数が加速度的に累積しました。東京では、国際化、情報化、国際金融の自由化の進展などの波にのって地上げ現象が活発化し、一気に地価が高騰し、さらに短期間にその暴騰の範囲は、あたかも焼原の火のように拡大し始めました。

 このような社会経済状況のなかで、東京圏内の競売の売却率は昭和61年頃より、100%に近い数字を示すに至っています。ですが、これは東京圏とそれに準ずる大阪圏、名古屋圏内の一部の地域であって、それ以外の他地域では依然として競売売却物件は、滞貨の山をなしている状況でした。

 民事執行法が施行された当時は、最低売却価額は一般市場の適正な水準で、よしとする考え方でした。これは「当該地域の地価水準、公示価格、都道府県基準地価格などに比準し、さらに当該物件の個別性を参酌して評価した」というように記述して、評価書を作成させるというようなパターンが物語っているところです。

競売不動産は欠陥住宅なのか


一般の不動産との違い


 競売不動産は安いと聞きますので、一般の不動産流通では売れないような欠陥不動産だから安いのではないかと考える人もいるかと思いますが、そうではありません。

 日本の銀行やノンバンクが不良債権を大量に抱えて四苦八苦していますが、競売にかけられる不動産それ自体が欠陥不動産であることを意味しているわけではありません。

 ですが、競売不動産には通常の取引とは際立った違いがあります。通常、一般の不動産仲介業者を通じて中古のマイホームを取得しようとする場合、現地に赴いて所有者からよく説明を受けて、内部をよく見せてもらいます。

 特に家庭の主婦でしたら台所の使い勝手や風呂場などを細かいところを見て、最終的に購入するかどうかを決めます。買う意思が決まったら、銀行ローンを予定している場合、売買契約を締結する前に銀行に融資してもらえるか打診し、内諾が得られた段階で売買契約を締結します。

 その際には、宅地建物取引主任者による重要事項の説明が念入りに行われ、手付金を支払います。そして引渡し期限に、融資を受ける銀行に集まり、残金を支払い、所有者移転登記申請と銀行の担保設定が同時に行なわれます。

 物件に引渡しについては、決済当日までに売り主が引越しを完了していることを確認し、当日は鍵の引渡しを行うだけになります。

 ところが競売不動産の場合は、金融機関との連携プレイができる余地はありますが、ひとまず代金全額を工面して裁判所に先に支払うことがほとんどです。

 また、残代金を支払ったら所有権の移転登記はすぐしてくれますが、その後裁判所の職員が立ち会って、即日の物件引き渡しをしてくれるわけではないのです。

競売不動産は欠陥住宅なのか(2)


競売市場減価


 通常の売買あれば、売り主は少しでも高く買ってもらおうと、建物内部を綺麗に使用し、時には壁や天井などをリフォームした上で買い主に引き渡します。

 ところが競売不動産の場合、買う人は裁判所に競売代金を全額支払うまでに、建物内部に一度も足を踏み入れることはできませんので、建物内部の確認はできません。債務者としても競売で追い出される日が近づいているとすれば、いまさら費用をかけて内装しませんし、風呂場が壊れていたとしても、放置してあるかもしれません。

 このように、自分の目で建物内部を確かめる事ができず、またすぐに引き渡しをしてもらえる確実な保証もないというブラックボックスの部分があることもあって、通常の市場価格より30~40%安い、いわば卸売価格で設定されているのです。これを競売市場減価といいます。

 したがって、卸売価格で購入した上に、物件の引き渡しも問題なく解決し、建物も予想したとおりのグレードを保っていたとなれば、得な買い物をしたことになります。

 最も裁判所は、法的に問題のない物件だけを選んで競売にかけているわけではありません。ホテル客室の持ち分だけの競売で居住できないとか、ほとんど全焼状態の物件とか、建物取壊しの判決が出てしまっているのに競売されているというようなこともあり得ます。

 プロ業者の目で見て金になるかどうかは別として、マイホームを確保しようとする人にとっては、目をそむけるような物件も紛れ込んでいることは事実です。ですから、問題物件をつかまないためにも、良質の掘り出し物件を探すためにも、通常の不動産仲介業者から購入するときとは異なり、より専門家のアドバイスが必要となります。

不動産競売手続き


裁判所の手続き


 競売手続きを行っているのは、その不動産が所在している地方裁判所です。不動産競売手続きは、法律に従って裁判所が買い手を探してお金に換える手続きなので、手続きをする人は裁判の原告でも被告でもなく、裁判所の手続きに協力するお客さんという立場です。

 そのため、最高裁判所事務総局が「競売不動産買受の手引」(裁判所FAX情報サービスで入手することができます)を用意したり、広告代理店を通じて新聞に広告を出したりして、情報を提供しているのです。

 裁判所は業者だけでなく、一般の人の入札が増えて迅速に売却されていくことを望んでいます。したがって、裁判所に一人で出かけて行っても、手続きが分からないということはありません。

 しかし、裁判所は不動産コンサルタントではないので、その物件が買い得かどうか相談しても教えてくれません。また、裁判所は中立公正ですから、買い手の立場に立って、どのような手続きをとると債務者に迅速に立ち退いてもらえるかというような戦略的な相談にもなかなか答えられないのが一般的です。

 競売物件情報の裁判所広告「なお、裁判所は競売物件についての照会には応じておりませんから注意しなくてはいけません。東京地方裁判所」はそういう意味をもっています。

 購入しようと考えている物件が見つかったら、その物件の注意点がどのへんにあるのか、専門家のアドバイスを受ける事をお勧めいたします。

競売不動産入手手続きの概略


競売不動産を売却する方法


 裁判所が競売不動産を売却する方法はいくつかありますが、一般的に検討する物件は「期間入札」と期間入札で適法な買い受け申し出がなかった場合に行われる「条件付特別売却」という方法のいずれかがほとんどですので、その2つについてだけ説明していきましょう。

■期間入札

 期間入札は、裁判所が認めた一定の入札期間の間に、その競売不動産を買いたい人が裁判所の執行官室に直接出向いて封筒に入れた入札書を提出するか、書留郵便で執行官に郵送する方法で入札し、開札期日に執行官が開封して、入札価格の最も高かった人「最高価買受申出人」を発表する方法です。

 受け取った執行官も、厳重に封緘してある入札書が入った封筒を開封することなく、開札期日に皆が見ている前で初めてハサミを入れて開封します。ですから、あらかじめ執行官に問い合わせをしても、入札金額はもちろん、入札者がすでにいるのかどうかも教えてもらえません。

 入札手続の妨害が入る余地がなく、極めてフェアな制度なので、サラリーマンでも家庭の主婦でも、誰でも参加できます。

■条件付特別売却

 期間入札の開札期日において適法な買い受け希望者がいなかったことが判明した場合、東京地方裁判所の場合、開札期日の翌日から1ヶ月間、最低売却価格以上の価格で買い受けの申し込みを受け付け、先着順で売却を決定する手続きです。

 この手続きがとられる物件は、人気がなくてどちらかというと売れ残り物件だったわけですから、1ヶ月間の特別売却期間を待っても買い受けを申し出る人はいないことが多いのです。

 こういう場合は、最低売却価格を見直すなどして再度期間入札の手続きをとるのが一般的です。

競売不動産情報へのアクセス


新聞・雑誌・インターネット


 どのような不動産が現在、競売にかけられているのかは、どうしたら知る事ができるのでしょうか。

 競売不動産情報は、朝日新聞・読売新聞などの全国紙に定期的に掲載されています。また、「週刊(一部月刊)住宅情報」などで、地元の競売物件情報が掲載されます。

 その情報内容は、東京地方裁判所の新聞広告による競売情報では、マンションの場合、

・最寄り駅   ・分/徒歩   ・バス   ・所在地(丁目まで)   ・築年月
・最低売却価格   ・専有面積   ・バルコニー面積   ・総戸数   ・管理費
・何階建ての何階   ・SRCなどの構造   ・管理費   ・競売事件の番号
・管理費滞納ありなどの備考

などです。

 ですが、本当は裁判所に資料を調べに行く前に、現地の建物の状況や付近の環境などを見ておきたいところなのですが、住居表示も最後まで掲載されていませんし、マンション名も出ていないので、現地調査はこれだけではできません。

 部屋の向き、眺望・日当たり・間取り・配置図などの情報も掲載されていれば、かなり参考になるのですが、残念ながらありません。

 こういった要望に応じるために、東京地裁・福岡地裁・札幌地裁・浦和地裁川越支部・新潟地裁長岡支部などの競売不動産については、「アットホーム」という不動産情報提供会社が、インターネットのホームページを通じて、通常の物件情報のほか、一部の物件については外観写真や間取りを提供しています。

 裁判所に出向く前にかなり検討できるようになったので、利用してみるのもいいでしょう。

競売不動産情報へのアクセス(2)


裁判所の情報提供サービス


 競売に関する問い合わせが殺到している事情もあり、現在多くの裁判所でファクシミリによる情報提供サービスを行っています。

 ファクシミリ情報を取り寄せて比較してみると、競売について非常に親切なコメントを載せているところ、事件番号別にボックス番号が付されていて間取りなどの詳細も無料で引き出せるようになっているところなど、各地方裁判所によってサービスの内容に大きな差がありました。

 どのような内容のサービスが受けられるか、各裁判所に電話を入れ、総合メニューを取り出してから、必要な情報のボックス番号を確認し、音声ガイダンスに従ってFAXを取り出すかたちになっています。

 ある会社では、FAXのほか、インターネットを利用して東京地裁や横浜地裁・千葉地裁・浦和地裁など8裁判所の物件記録をダウンロードして入手することができます。

 月会費1000円で、1件当たり1200円で入手する方法のほか、例えば東京地裁分について何件ダウンロードしても月額2万円の低額料金制のどちらかが選択できるようになっています。

 その他、定期的に競売物件の重要なところを掲載した雑誌を刊行している会社などがあります。

 いずれも、不動産業者などが多く利用しているものと思われ、マイホームを探すだけということであれば会員になって探すというのは本格的過ぎるような気もします。ですが、裁判所に出向く必要がないということは非常に助かります。

内容を裁判所で調査する方法


物件の詳細を知る


 私たちが、不動産業者の仲介でマンションや戸建て住宅を購入する場合、契約締結前に必ず宅地建物取引主任者の資格を持つ人から重要事項説明書に従って、購入物件の説明があるので、それで物件の詳細を知る事ができます。

 しかし、競売不動産の場合は、物件について裁判所や執行官が現地を案内してくれたり、物件説明会を開いてくれるわけではありません。その代わりになるものが、購入希望者のために公開される期間入札の公告・物件明細書・評価書・現況調査報告書・不動産登記簿です。

 裁判所の物件明細書等閲覧室に行くと、図書館の書棚のように物件別に整理されたファイルが並べられています。閲覧の申込みをすると、係の人がファイルを渡してくれるので、閲覧室で見ることになります。閲覧は無料で、コピーは有料です。

 東京地方裁判所物件明細書等閲覧室は、いつも混雑しており、専門の業者ではなく、一般の不動産業者の閲覧も増加しているようです。

 閲覧開始日から1~2日は待たされることも多いので、これを避けて行かれるほうがいいでしょう。東京地方裁判所の場合、1階の司法協会というところで閲覧開始日の2日前までにコピーを申し込んでおくと、開始日の朝に受け取れるという便利なサービスが始まっているので、これを利用するのもひとつの方法です。

 もし、混雑に紛れて出来心でファイルを持ち帰ったりすると、裁判所から窃盗罪、窃盗・競売入札妨害罪などで処罰されてしまいます。実際に、全国で何件も事件が起きているので、そんなことはしないようにしましょう。

宅地の基礎知識


接道義務


 将来、建て替えを予定して競売不動産の戸建て住宅を取得したところが、裁判所記録の記載を見落として、再建築不可の物件だったら大変です。そんなことがないように不動産に関する公的規制の基本的知識を説明しましょう。

 まず、家を建てるためには原則として、幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接していなければ家は建てられません。この要件を充足していないと、建て替えようと思っても許可は出ないことがあります。

 ただ、これを徹底することになると路地裏に住宅が密集しているようなところは、家を建て替えることができなくなります。そこで、建築基準法の規定が適用される段階ですでに建物が立ち並んでいる4m未満の道路で、指定を受けているところは建物を引っ込めて建てることができるようになっています。

 道路とみなされた部分は、建物を建築するための使用ができなくなり、計算上も建築敷地の面積から除外されることになります。この道の両側が全て、建て替えた場合は、幅4mの道路が通しで確保できることになります。

用途規制


 住宅地には住宅地にふさわしいものだけを許し、店舗など静寂な生活環境を破壊する恐れのある建築物を認めないなど、地域ごとに建物を合理的に立地させることが必要になります。これが用途地域です。

 住宅用の用途規制は7種類に分類されています。最も規制の厳しい第1種低層住居専用地域では、店舗や飲食店は禁止されています。第2種低層住居専用地域では150㎡以内、第1種中高層住居専用地域では500㎡以内で2階以下の一定の店舗、飲食店などを建築することができるようになります。

 また、逆に土地の値段が安いからといって、工業専用地域ではマイホームを建築することができません。評価書には、用途地域の記載があるので、確認しましょう。

マンションの基礎知識


利用制限

 
 マンションで進学塾などをやろうとした場合、規約で住居専用と定めてあり、事務所等としての利用も禁止されている場合は、進学塾の継続は難しいと思われます。

 マンションは基本的に、ドアの内側である専有部分と、廊下・階段・エレベーター・1階玄関ホールなど、区分所有者全員のための共用部分から成り立っているので、快適な共同生活を維持していくために、区分所有者で決めた憲法である規約は守らなければいけません。

 この規約は、競売不動産を取得した場合のいように、後に区分所有者として仲間入りする場合も、当然引き継ぐ義務があります。

 徹底して住居専用を守っているマンションは、1階の共同郵便受けに事務所などの表示プレートは1枚もありません。一切提出を禁止しているからです。

 住居専用といっても、月謝を取って毎週何人かのために部屋で書道教室を開くような場合などは、それでマンションの平穏が害されるほどではないでしょうから構いませんが、大勢の子ども達が出入りする進学塾になると、やはり逸脱していることになってしまい、他の区分所有者は、このような利用の停止を求める権利があります。

 こうなると、自分のマンションでも不自由だと思われるかもしれませんが、仮に隣の部屋がレンタルビデオショップを開いたとすると、あまりいい気はしないと思います。

 やはり、規約が厳しいということは、区分所有者一人一人のためには、良いことと言えるでしょう。

マンションの基礎知識(2)


改造制限


 競売不動産購入の購入を予定しており、入り口のドアやキッチン、さらにコンクリート壁を壊して広い部屋にしたいなどと考えている人もいるかと思います。

 マンションのドアより内側は専有部分なので、どのように手を加えても構わないという考えからこのような改造工事を予定しているのだと思います。

ですが、実際に区分所有者がマンション内部で他の区分所有者の同意なく勝手に改装できるのは、壁紙の張り替えや厨房・風呂場の浴槽などの区分所有者自身が所有する設備の取り換えなど、意外に限られているものなのです。

 マンションのドアはそもそも共用部分と考えられています。規約で禁止されているかどうかというより、共用部分と考えられています。規約で禁止されているかどうかというより、共用部分であるドアを勝手に取り換えたり、全面的に別の色に吹き付け塗装したりすることもできません。

 キッチンの移動も給排水設備を移動することを意味し、水圧などマンション全体に重大な影響を与える場合があります。さらに、コンクリート壁はマンションの躯体部分であり、共用部分そのものです。建物の構造上、基本的な部分である壁を撤去することはできません。

 日本人は元来、マンションのような区分所有建物に慣れていないために、戸建て住宅を積み上げたような意識から抜け切れていないようです。お互いに規約を守り、快適なマンションライフを送りたいものです。

マンションの基礎知識(3)


建て替え


 競売不動産のマンションを購入したいが、築年数が経っており、将来建て替え問題が出てきそうな場合、区分所有者が全員揃って建て替えに賛同するのかどうかという問題があります。

 戸建て住宅であれば、建て替えるかどうかは自分が決断するだけですが、マンションの場合は区分所有者全員の問題なので、少しやっかいです。

 阪神・淡路大震災でも神戸地区で多くのマンションが倒壊・半壊しましたが、再建についてうまくまとまったところと、反対に住民同士の考え方の違いから暗礁に乗り上げてしまったところがあったことも事実です。

 壊れたマンションの住宅ローンは、まだほとんど残っていて、これに新しいマンション建築費用を負担するわけですから、その経済能力がないお年寄りはどうしようもないというのが実態でした。

 建物が老朽化して、このまま維持していくのに莫大な費用がかかってしまうという事態になったときは、区分所有者は集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数でマンションの建て替えを決議することができるようになっています。

 決議に反対し、その後も建て替え参加の意思がないことが明確になったときは建て替え参加者が、不参加者のマンション部分を時価で売り渡すよう請求することができます。

 つまり、一人残らず全員が賛成しなければ、一切建て替えができないのではなく多数決原理で、建て替えを推進することができるようになっているのです。

競売物件の現場調査


戸建て住宅


 競売不動産には、本人の意思に反して立ち退く運命になってしまった人やその関係者が居住しているのです。その人達は、その時点ではまだ正当な所有者・居住者です。ですから、居住者の家の中を見せてくれるように頼むのは、相手方の感情を無視していることになります。

 そのため、居住者本人に会えず、部屋の内部を直接見られない代わりに裁判所で内部の写真などを含めた3点セットを閲覧し、あとは自分で情報を集めて総合判断することになります。間取りは、裁判所の現況調査報告書に添付されている図面で検討する以外にありません。

 現地周辺の住環境を自分の目で見ることが重要であることは当然ですが、増築していたり(既存不適格住宅)、住み続けるには問題なくても建て替えができなかったり(再建築不可物件)、接道義務に違反していたりする場合があります。

 自分の目で、敷地が幅4m以上の道路に接している状態かどうか確認したり、用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限などについては裁判所で閲覧コピーした裁判記録だけでなく、市区町村の建築課で確認するぐらいの慎重さが望まれるところです。

 敷地の一部が都市計画道路にかかっていると、いつかは道路用地として収用されるわけですから、このような戸建て住宅はマイホームとしては避けたほうがいいでしょう。

 戸建て住宅の場合は、道路から遠く建物をながめるだけでどの程度の情報が得られるのか心もとない限りですが、マンションとは違い一戸建てなので、外壁とか屋根の様子とか判断材料となる情報は多いはずです。

競売物件の現場調査(2)


戸建て住宅(2)


 もともと問題が無かった建物が、増築によって構造的に無理がきていて、外壁にひび割れが生じていたりすることがあります。外壁の修繕は、タイル張りのような仕上げよりも、吹付け仕上げのほうが修繕が容易だと言われています。

 将来の大修繕を考えたとき、屋根がシンプルな片流れとか切妻であれば、雨漏りがあっても修繕箇所が特定しやすいのですが、屋根が複雑なかたちをしていて、谷間があるような形は、修繕箇所の特定や修繕費用に差が出てきます。

 できれば、大工さんや建築士など建築知識のある人に同行してもらって意見を聞く事ができれば、より的確な判断ができると思われます。

 敷地のなかに入っていけるのなら、建物基礎がどのようになっているのか、床下の通風がどのようになっているのか調べる事もできますが、それができない以上、建物の見た目から経験と勘で判断する以外にありません。

 専門家はその建物が、精魂込めて丁寧に建築されているかどうか見た瞬間に分かるそうです。このような住宅は、手抜きの欠陥住宅の心配はなさそうです。

 競売不動産であるために、建築施工図を入手することもできませんから、建物の基礎がどのようになっているのかとか、建物の耐久性、内部の造作や諸設備については、裁判所から提供される写真や評価書の建物評価に関係する情報だけから判断する以外にありません。

 執行官の現況調査報告書の写真について、さらに必要にして十分な枚数を期待したいところです。

競売物件の現場調査(3)


マンション


 競売されているマンションを調べる場合、どのように調べればいいのでしょうか。マンションを選ぶときに言われるのは、「管理を買う」という言葉です。

マンションに実際に出かけていったときに、エレベーター内はキズだらけ、廊下には誰のものか分からない私物が放置されていたり、郵便受けにはピンクチラシがあふれていたりなど、このようなマンションにはあまり住みたいとは思わないのではないでしょうか。 

1階に管理事務所が無く、管理会社の巡回員が週に何度か回ってくれるだけのマンションでは、そういう傾向があります。こういった管理が行き届いていないスラム化したマンションを買うことはお金をドブに捨てるようなものです。

 マンションに管理人が常駐している場合は、いろいろと尋ねてみましょう。管理人は多くの情報を持っています。おそらく、日常の管理業務のなかで苦労させられていることを教えてくれるでしょう。

 マンションが競売になっていることは、執行官の現況調査のときに管理費の滞納状況などを尋ねられているので、すでに知っている場合がほとんどですから、尋ねることで、競売物件の所有者に新たな迷惑をかけることはありません。

 それからマンションの場合、単純に築後年数の比較で新しいほうがよいと一概には言えません。日本が好景気だった頃、建設ラッシュの中で一部の悪質業者が、塩分を含むために鉄筋を腐食させる海砂まで使って、ビルを粗製濫造していた時期がありました。

 その意味でも、建設業者や販売業者を確認することは大切なことです。裁判所の書類には出てきませんが、管理人や近隣の人から教えてもらえるでしょう。

競売物件の現場調査(4)


マンション(2)


阪神・淡路大震災の激震地では、全壊したビルの多くが、建物の耐震構造の基準が厳しくなった昭和56年以前に建築されたものという結果が出ています。また、1階に駐車場がある、壁位置のバランスが悪い建物に被害が集中していました。

 建設業者や販売業者が既に倒産してしまっている場合、欠陥マンションだとして、区分所有者同士が一致団結して闘おうと思っても、その相手がいないことにはお手上げです。建設業者や販売業者がしっかりしている場合は、築後年数に関わらず、いろんなケアが期待できます。

 管理事務所には修繕工事などのために建築設計図面や配管図などが備え置かれているはずですので、見せてもらうように頼んでみるのもいいでしょう。建物設計図面がない場合でも、販売当時のパンフレットが保管されている場合があるので、それをコピーするか写真をとらせてもらえれば成功です。

 設計図、パンフレットから得られる情報はたくさんあります。一戸建て住宅はどんな変更もそれほど制限がありませんが、マンションの場合は、構造的にも規約上もできないことが多いのです。

 こうしたことは建物設計図面や新規分譲時のパンフレットがあれば、かなりの部分まで分かります。競売不動産に限ったことではありませんが、不動産という高い買い物をするわけですから、細心の注意が必要です。

 また、現地を見に行ったときにはマンションの様子を写真撮影しておきましょう。もし買受人になって、明け渡しを求める法的な手続きをとるときに「期間入札の直前である○月○日現在においての占有状態」を証明する証拠として重要な意味をもってくることがあります。

土地の価格(2)

価格の公表


 バブルの頃に、暴騰する土地の値段を抑制するために国土利用計画法が改正され、一定規模の土地を売り買いするときはあらかじめその価格を届け出て、問題ないという不勧告通知を受けてからでないと、売買契約ができないようになりました。

 ですが、現在はマイホームのような規模の土地建物の売買では、そのような面倒なことはしなくても当事者間で自由に価格設定をして売買することができるようになりました。

 自由になったとはいえ、具体的な不動産取引において売り急いでいるか買い急いでいるかなどというように、買い手の主観的な感情などで物件が左右されます。そこで様々な目的に合わせた価格を一般に公表することになっています。

公示価格

 公示価格とは、地価公示制度により国土庁から発表されるもので、一般の土地売買取引においても、この価格を参考にして売買価格を決めてもらおうという目的でできたものです。そのため、競売不動産の評価においては重要な参考価格として取り上げられます。

 毎年1月1日現在の全国約3万ポイントの地点の価格が、3月下旬に公表されます。実際の作業は、国土庁から委託された全国の不動産鑑定士によって鑑定評価されたものが集約されて公表されます。

 公示価格は官報によって公表されるほか、各地域の公示価格が地域の一般紙に掲載され、また、地点の地図を併せて掲載して、より参考にしやすくしたものが出版されています。

土地の価格


基準地価格


 基準地価格は、公示価格と同じように、一般の土地売買取引の参考に供するための価格ですが、各都道府県で毎年7月1日現在の価格が、9月下旬に公表されます。

 地価公示と評価時点が半年ずれることと、地価公示の評価地点の不足地点を補うという性格があります。

路線価


 一般的に路線価といえば、相続税路線価のことを言います。路線価は、国税局で定めた市街地の道路につけられている価格で、道路に面している標準的な土地の㎡あたりの価格を表しています。

 路線価は、近頃8月ころに発表されます。相続が生じたときに相続税の計算の基礎として、被相続人が所有してい土地の評価をしたり、贈与税のための土地の評価に使われます。

 なお、路線価のない地域にあっては路線価に代わり、次の固定資産税評価額に対して、その地域は何倍という倍率で計算されることになっています。

固定資産税評価額


 固定資産税評価額は、市町村が土地や家屋に課税するための評価額です。固定資産税や不動産取得税、所有権が移転される場合の登録免許税などの課税時に用いられます。

 固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われ、現在の評価額は、平成18年度に評価替えが行われたもので、次回の評価替えは平成21年です。

 なお、宅地の固定資産税評価額は、公示価格の7割とされています。固定資産税においても、市街地の宅地について路線価格がつけられており、市町村役場で閲覧できます。

マンションの競売物件情報記事


広告の記載事項


 競売不動産としてのマンションで注意することは、敷地利用権がどうなっているかです。普通は所有権ですが、なかには借地権の場合があります。そういう物件には、競売物件情報の備考欄に「敷地利用権は借地権」という記載があります。

 敷地利用権が借地権であるマンションを取得した場合は、地代の支払いが必要になります。その代わり、敷地の所有者ではないので、敷地についての固定資産税・都市計画税の支払いはいりません。

 借地契約も期限があり、借地期限が到来したときやマンションを将来建て替えるときは、敷地所有者との間で話し合う必要が出てくる物件です。

 借地権が賃借権の場合に、将来この賃借権付きマンションを売却する場合は、敷地所有者の承諾が必要ですが、事あらかじめ包括的に承諾がなされている場合は、通常、所有権と同じく自由に売れることになります。承諾がない場合は、個別に個別に承諾を求めなければいけないことになります。

 管理費などが記載されていますが、マンションは管理を買うものです。管理費や修繕積立金が他と比較して少なすぎるのは、管理が適正に行われていなかったり、まともな修繕ができないことにもつながるので、注意が必要です。

 マンションの寿命は、税法上の法定耐用年数が鉄骨鉄筋コンクリートの場合47年となっていますが、管理を徹底し、大規模な修繕をすることで長持ちしますので、やはり管理が大切ということになります。

土地付き建物の競売物件情報記事


土地付き建物の検討


 ここでは、新聞の競売物件情報の土地付き建物を検討するときの留意点について説明していきます。

 「私道負担等○○㎡あり」などとある場合は、宅地内に道路として使用しなければいけない部分があることを指し示しています。このような部分は、建築敷地として計算ができないことになっています。

 接道義務のところでも説明しましたが、建築基準法で建築敷地は幅員4mの道路に接していなければいけません。個人が負担するかたちで私有地で出し合って、幅員4mの道路を築造し、道路位置指定を受ける場合もあったりします。

いずれにしろ、このような道路は勝手に廃止したりすることはできません。自分の所有であっても自分のものでないようなものですから、土地の評価を検討するときは、この部分を全くのゼロとして考えたほうがいいでしょう。

 地目というのは、土地登記簿の表題部に記載される土地の用途上の分類の種目です。これが現況と一致していないことがあります。

 「増築あり」「改築あり」と記載があると、建物が増改築されて、その現況が登記簿の表示と大きく相違している場合があります。

 当初、平屋建てだった木造の戸建て住宅に2階部分を増築することはよくあります。建物の増改築が、前後を通じて物理的に同一性があるとして競売手続きが進められます。つまり、2階建ての現況の建物が競売にかけられていることになります。

建物だけの競売物件情報記事


借地権付き建物


 借地権付き建物というのは、建物のみが競売になっている物件です。買受人は、土地の所有権を裁判所から取得することはできません。その建物がその敷地に建っていられる
根拠が、借地権(地上権または賃借権)というわけです。そのため、建物の買受人は競売不動産を取得したと同時に、土地の借地人の立場になるのです。

 借地権の内容が地上権という物権である場合は、土地所有者の承諾はいりませんが、賃借権の場合、土地所有者の承諾を受ける必要があります。

承諾が得られない場合は、代金を支払った後2ヶ月以内に、承諾に代わる許可の裁判を求めなければいけないことになっています。この場合、裁判所は買受人に対して土地所有者に承諾料の支払いを命じて、許可することになります。

承諾料は、通常、借地権の価格の10%前後が多いようです。借地権割合については様々な出し方がありますが、東京の銀座のような一等地では90%近くになります。マイホームを求めようとしている一般の住宅地では60%前後が慣行です。

このように、裁判所が土地所有者に代わって許可を与えるので、元の建物所有者と土地所有者との間で、借地権の存否について争いがあるときは、その係争にそのまま巻き込まれる危険があります。

借地権付き建物の物件明細書に以下のような記載がなされている場合があり、新聞広告の備考欄にも簡単に記事が載っているのが普通です。

■ 借地契約解除の意思表示がなされている
■ 建物収去・土地明渡請求訴訟(当庁平成○年(ワ)第○○○○号が提起されている)
■ 建物収去・土地明渡を命ずる判決(当庁平成○年(ワ)第○○○○号が確定している)
 
このようなケースは、場合によっては裁判所に代金を支払って借地権付き建物を取得しても、建物を収去しなければいけないこともあります。

ですが、そうなったからといって、裁判所から代金を返してもらえるわけではありません。マイホームを取得しようとする方は、こういった物件は検討対象外と考えたほうがいいでしょう。

建物だけの競売物件情報記事(2)


法定地上権付き建物


 建物と敷地の所有者が同一の場合に、建物だけを競売すると、その建物には当然に敷地に対する地上権が成立しているものとみなされます。これを法定地上権といいます。

 物件明細書の「売却により設定されたものとみなされる地上権等の概要」の欄に、「地番○○番の土地につき、法定地上権が成立」と記載されています。

つまり、法定地上権付き建物を取得して建物所有権を取得した場合、土地所有者の承諾を求める裁判をする必要もなく、当然に地上権を主張でき、承諾料を支払う必要もありません。

地上権というのは、賃貸借契約から生まれる賃借権と異なり、将来、この法定地上権付き建物を売却する場合でも、土地所有者の承諾は必要ありません。新聞広告を見ればわかるように、期間入札の物件数からすると、法定地上権付き建物は極めて少ないのです。

しかし、借地権付き建物の権利の不確かさと比べると強力な権利であり、当然のことながら土地の所有権を取得する場合よりも、価格は低く設定されています。ですから、検討する価値は十分あるのです。

法定地上権付き建物を取得した場合は、地代の支払いが必要になります。その代わり、敷地の所有者ではないので、敷地についての固定資産税・都市計画税の支払いはいりません。

地代については、土地所有者との話し合いで決定しますが、話し合いで決まらない場合は、裁判所に額を決めてもらい、地上権成立時にさかのぼって支払うことになります。

建物だけの競売物件情報記事(3)


使用借権付き建物


 新聞の競売物件情報の記載で、建物だけの競売の備考欄に「土地の利用権は使用借権」となっていたとします。この建物を購入した場合に、どのような点が問題になるのでしょうか。

 マイホームの取得を目指している方々は、このような物件を購入してはいけません。建物だけの競売で、土地利用権が借地権であったり法定地上権が発生する場合は、それぞれ借地借家法や民法で保護され、建物所有者が土地所有者に対して土地利用権を主張できます。

 ですが、土地利用権が使用借権、つまり、ただで土地を借りている場合は、建物を取得しても、借地権のような保護は一切ありません。

 ですから、裁判所に代金を支払って建物を取得したとしても、土地所有者はとくに土地利用権についての合意がなされていない以上、いわば土地不法占有者として建物収去土地明け渡し請求がなされた場合には、土地を明け渡さなければいけないのが原則です。

 裁判所に○○万円支払って、買い取った建物なので少なくともその代金分くらい地主から支払ってもらわない限り、要求に応じられないといったような理屈は決して通ることはありません。

 では、このような建物を購入するのは、どのような動機からでしょうか。おそらく、土地利用権の法的な強弱は別として、建物が現実にその土地を占有している事実を前提に、土地所有者から土地を安く買い取る道具にしようと考える人がいるのでしょう。

 いずれにしろ、マイホームを目指す方が、首をつっこむような物件ではないということは確かです。

土地だけの競売物件情報記事


更地


 新聞の競売物件情報に、「土地のみ」という欄がありました。付近相場からすると安いようなので、購入して、そこに家を建てようと考えています。ここで注意すべきところはどんなものがあるでしょうか。

 街を歩いていて、わずかな空き地に立入りができないように頑丈なフェンスを張り巡らし、「都有地」とか「関東財務局管理地」といった立て看板が立っているのに出会ったことがあるかと思います。

 競売不動産の場合は、競売で買受人が裁判所からその不動産を取得するまでは、所有者がその不動産を自分で利用して駐車場経営をしたり、他人に貸したりするのは自由なので、売却が終わるまで裁判所がフェンスを張り巡らせてしまうわけにはいきません。

 ですが、所有者に金を貸している立場の人間が、債権回収目的で執行妨害的に関与していることがあります。

そのため、「現況駐車場」の場合は、買受人が本当の意味で更地として確保するのに、どのような法律問題や手続きが必要なのかを専門家とよく相談したほうがいいでしょう。機械式立体駐車場などは、撤去方法などについて慎重に対策を練ることが必要です。

 これは本来、更地である土地の一部に競売対象外建物が建てられている「件外建物あり」も同じです。「件外建物あり」というのは、競売の対象になっていない建物にその土地が占有されているということですから、やはり同様に、更地として確保できるまでに手間がかかる場合があります。

土地だけの競売物件情報記事(2)


底地


 底地をできるだけ安く取得して、そのまま引き継ぐ事になっている地上建物は借地権者と交渉して明け渡してもらった上で、建物を建てるという計画は、果たしてできるのでしょうか。

 建物を建てて敷地を利用している人には借地権があり、住宅地でもその土地の価値の60%くらいの割合で権利をもっています。このような土地としての権利に押しつぶされそうに制限を受けている土地が「底地」というものです。

 ですから、いくら底地を安く買うことができるとしても、その建物所有者がすんなりと建物を取り壊して明け渡すということはあまりないと言えるでしょう。

 将来、借地人との間で賃貸借契約がうまく解消できたとき、安く仕入れた底地が生きてくるという楽しみだけで取得する以外は、絶対に手を出せない土地です。

 借地人が地代を滞納している事実が掌握できても同じことが言えます。底地を買い受けたあとに、地代滞納を原因として建物収去土地明け渡し判決を得て、更地にできたら儲かると考えるかもしれません。

 ですが、買い受け前の地代滞納をもって、わりとあっさり、解除できるとは必ずしも言えません。いずれにしろ、マイホームを目指している方には無関係な対象であると言っていいでしょう。

 底地を購入したのであれば、固定資産税・都市計画税を支払って、年間わずかな地代を受け取ってずっと我慢し続けていくということを覚悟しなくてはいけません。

物件明細書の見方


物件明細書とは


 3点セットの最初に「物件明細書」がありますが、物件目録以外には、1枚だけの簡単なものです。これには一体、どのような効力があるのでしょうか。

 物件明細書は、3点セットの残りの2つ、すなわち評価人の「評価書」や執行官の「現況調査報告書」、さらに競売手続きが始まって債権者から届け出されている資料などに基づいて、競売不動産の権利関係を記載した書類です。そうした資料をもとに情報が開示されるのです。

 ところで物件明細書は、厳密に言うと裁判の判決所のような書類ではなく、裁判所のひとまずの認識を記載したものと理解されています。ということは、そこに書かれている判断には、権利義務関係を最終的に確定する効力はないということです。

 例えば、物件明細書に引き受ける賃借権がないと記載されていても、実際に引き受けるべき長期賃借権がしっかりあったとすれば買受人は、結局賃借権の負担がついた不動産を買い受けることになったりする可能性が全くないとは言い切れません。

 このように言うと、裁判所が責任回避の弁解をしているように聞こえるかもしれませんが、法的な効力を話しただけで、実際には記録中の資料に基づいて慎重に事実関係を認定して、法的に評価を加えた結果が記載されています。

 ですから、その証拠価値は絶大のはずで、競売不動産の購入を検討するための最重要資料であることには違いありません。物件明細書の機能には以下のようなものがあります。

●購入(入札)判断の資料

 競売不動産を買おうかどうか検討している人にとっての判断資料

●引渡命令の判断資料

 備考欄の記載により、引渡命令がとれるかどうかの判断資料

●抹消登記の判断資料

 売却後の登記嘱託についての判断資料

●執行妨害の抑制機能

 保護しない占有であることを裁判所が宣言することによる執行妨害抑制

●警告的機能

 競売不動産を買った人が不測の損害を被ることのないように警告する

物件明細書の分析


重要な記載事項


 物件明細書は、裁判所がその競売不動産について、その明細を書き記したものです。物件明細書に記載されている内容は、不動産登記簿謄本、現況調査報告書、評価書などの資料に基づいて事実を認定して、これに法的評価を加えた結果として裁判所の判断が示されているものです。

 また、買い受けようとする方にとっては、宅地建物取引において宅建取引主任者が説明を義務づけられている重要事項説明書のようなものであり、非常に重要です。ここで、物件明細書の中の「必要的記載事項」の欄を説明します。

「不動産に係る権利の取得および仮処分の執行で売却により効力を失わないもの」

 競売不動産にどのような権利(買受人から見ると負担)が付着しているかは、買い受けようとする人にとっては最大の関心事です。ここに斜線が引かれているときは、買受人が引き継ぐものはないということです。

 抵当権に優先する賃借権があるときは、それを引き継ぐ必要があります。賃借権の契約内容が記載されていて、契約期限が8ヵ月後までになっていたとします。貸すのはそれまでで、期間が満了したら明け渡してもらえるといったような考えは間違いと言えます。

借りている人には当然、借地借家法の適用がありますので、原則として契約期間は更新されます。居住権について相当の補償を支払うことで合意し、明け渡してもらえる自信があればいいのですが、そうでないならこのような競売不動産を好んで買う必要はありません。

物件明細書の分析(2)


任意的な記載事項


 備考欄に記載されている具体例をいくつか検討してみます。

●備考欄に「件外建物あり」とある場合

 件外とは、その不動産競売手続きの対象になっていないという意味です。このような競売手続きの対象外の建物が建てられた経緯はいろいろとあるでしょう。

 件外建物があることで、建物収去土地明け渡しに手間がかかりそうだからと入札しようとする人が減って、競売不動産がなかなか売却できなくなったりします。また、入札があって落札者が出ても建物を楯にすればお金になるだろうと、このような手段に出る事があるのです。

 競売になっているビルの屋上にプレハブを一棟建築して保存登記したり、対象である戸建て建物の敷地のわずかな空き地に建設を建てて保存登記をしているようなケースも同様です。

 このように件外建物は、競売が始まったり始まりそうになってから、ある目的をもって建築されることも多く、もとより買受人との間では占有権原すなわち建物を買受人の所有敷地に建てておく根拠があるわけではありません。

 ですから、買受人は土地を占有している件外建物を取り壊して明け渡すように求める権利があるので、建物収去土地明け渡し請求訴訟を起こせば、速やかに判決が出ることでしょう。

 しかし、訴訟の時間と費用がかかることも事実です。このような物件については特に、弁護士などの専門家にアドバイスを受けて、入札してもよいかどうかを判断するようにしましょう。

物件明細書の分析(3)


任意的な記載事項(2)


●備考欄に「管理費等滞納あり」とある場合

 マンションの管理費や修繕積立金については、買受人が引き継ぎます。債務が弁済できなくなったことから始まるのが競売なので、マンションの管理費が滞納されているのは、むしろ原則といっていいでしょう。

●備考欄に「○○○○の賃借権は、期限の経過により買受人に対抗できない。買受人に対抗できる権原を有しない占有者は、引渡命令の対象となる」とある場合

 ここでいう賃借権は、抵当権に遅れて設定しても保護される短期賃借権のことです。短期賃借権として保護される権利であっても、その期間が経過したときは、その保護を全うし、またそれ以上の保護を与える必要もないので、買受人に対抗できないことになります。

●備考欄に「○○○○の賃借権は、正常のものとは認めない」とある場合
 
 競売不動産の所有者に金を貸している金融業者で、所有者を強引に説得して短期賃借権の登記を入れ、貸金債権と相殺するかたちで資料は3年間前払い、多額の敷金を入れたことにして債権回収を図ろうとする者がいます。

 また、債権者が自ら占有する場合や、必ず契約にある賃貸譲渡ができるという特約条項に従って、第三者に賃貸して、賃料収入で債権回収の一部にしようとするケースが少なくありません。

 このような賃借権は、債権回収を目的とする賃借権であり、正常のものとは認めないとするのが裁判所の判断です。

滞納・未納の引継ぎ


管理経費


 建物の区分所有等に関する法律8条で、マンションを譲り受けた人は、旧所有者の管理経費などの債務を引き継ぐことになっています。管理経費とは、管理費のほか組合費・修繕積立金などを含みます。

 マンションの場合、専有部分については所有者が維持管理していくわけですが、共用部分は居住者が快適な共同生活を維持していくためにも皆が公平に負担しなければいけません。

 マンションを買い受けた人が、以前の事を知らないというのでは、管理や維持修繕に支障が出てきますので、それも引き継ぐ義務を課したのです。

固定資産税・都市計画税


 不動産競売は債務を弁済できなくなったことから始まりますので、所有者が固定資産税・都市計画税や管理費・修繕積立金を滞りなく支払っている事は稀で、当然、滞納していると考えられます。

 ですが、固定資産税・都市計画税は不動産を所有していることから生じる義務であり、その滞納分を次の所有者が引き継ぐ必要はありません。

 固定資産税・都市計画税の課税対象になるのは、毎年1月1日現在存在している土地・建物で、所有者として登記簿に記載されている人が、そのまま土地課税台帳・家屋課税台帳の所有者欄に転記され、納税義務者になります。

 そして、法律上、建物区分所有法のような引継ぎ義務がない以上、買受人は、自分が所有者になった以降の分の納税義務しかありません。当然ですが、電機・水道代・ガス代などの公共料金滞納分を買受人が引き継ぐことはありません。

現況調査報告書の見方


現況調査報告書


 現況調査報告書は、裁判官の命令を受けて裁判所執行官が競売不動産の現地に臨み、不動産の現況や占有状況について聞き取りした結果などを裁判官宛てに報告したレポートです。

 執行官は、現況調査を実効あるものにするために、競売不動産に立ち入る権限をもっており、所有者や賃借権を主張する占有者に質問したり、賃貸借契約書の提示を求めることができます。

 競売不動産を買おうとする人にとっては、物件の内部や住んでいる人の様子を自分の目で確かめることができないので、執行官のレポートに頼る以外にないので、内部の写真などもなるべくたくさん欲しいところです。

 執行官が認定した占有者及び占有状況についての記載は重要です。つまり、所有者家族が占有しているのであれば特別問題ないのですが、第三者が占有している場合、その占有の開始時期、所有者から直接借りているのか、所有者と直接結びつかない人との間で契約しているのか、どういう権原に基づいて占有しているのかをきちんと確かめることが必要です。

 その時期や権原によっては、買った人は、その占有を引き続き認めなければいけないことになるからです。

 現況調査報告書には、現地に立ち入り調査をしたときに出会った人の話が「関係人の陳述」として出ています。関係人の陳述や執行官の意見の欄は、貸し続けなければいけない賃借権かどうかの基礎資料であるばかりでなく、物件を買い受けたあとに引渡命令を受けて強制執行をするか交渉で解決するかは別として、引き渡しを受けるのが容易な占有か、幾多の困難を伴うかを判断する重要な参考資料になります。

評価書の分析


評価書


 不動産鑑定士が裁判所の命を受けて、評価人として競売不動産の評価をしたものが評価書です。裁判所は、これに基づいて最低売却価格を決めます。

 評価書がなぜ必要なのかと言えば、買受人同士の談合で不当に低い価格で落札されると、債務者・債権者の利益を損なうからです。評価書の金額が事実上裁判所が決める最低売却価格となり、これを下限として、最も高い価格を提示した人が買受人となります。

 なお、一般の不動産鑑定評価で求める価格は原則として、市場性のある不動産について合理的な市場で形成される適正な価格(正常価格)ですが、競売の評価書で求める価格は「不動産が民事執行法による売却に付されることを前提とした適正価格」とされました。

 競売不動産には様々な制約やリスクが伴うので、正常価格ではなかなか買い手がつきませんでした。このような実情に配慮して、裁判所も合理的な減価を認めるに至ったものです。

 一般的に、裁判所で3点セットを閲覧するとき、現況調査報告書や評価書に添付された建物写真や各部屋の状況、さらには間取り図や地形などは興味があって一生懸命見るでしょう。

 ですが、評価書の文章は付近の環境などはあたりは読んでも、評価書で最も重要な評価額算出の過程については、何が書いてあるのかよく分からずに読み飛ばしてしまう方も少なくないと思われます。

 ですが、評価書算出の過程を理解することは、その競売不動産を購入するときに貴重な判断材料になるはずです。

不動産登記簿謄本


不動産登記簿謄本から読み取れる事


 3点セットと一緒に競売不動産の謄本もついています。買い受けたと同時に、抵当権などの負担がきれいに消えてしまうのであれば、内容を検討する必要はないように思われますが、これには意味があるのでしょうか。

 基本的にはその通りで、登記が消されないものがある場合もありますので、物件証明書の記載事項に注意して、その消されない権利を登記簿謄本の記載でよく確認して、買い受けて自分が所有権の移転登記を経てから、それらとの関係がどのようになるのか専門家に相談し、確認しておきましょう。

 予告登記というものがあります。これは権利に関する登記ではないので、抹消嘱託の対象にならないとしています。抵当権に優先する賃借権登記があれば、もともと買い受けた人が引き継がなければならず、物件明細書にも明記されているので、抹消にならないのは当然です。

 こうした法律関係に加えて、その謄本から漂ってくる雰囲気をつかむことも購入を検討するうえで意味のあることです。登記簿謄本は、その競売不動産の履歴書です。

 登記簿謄本は、所有者が最後までなんとか会社を守っていこうと頑張ったが、結局、高利に手を出してにっちもさっちも行かなくなった様子を物語っています。この競売不動産では、高利の金融会社や個人が最後まで何とか金になるネタはないかとまとわりついてくることも予想されるなど、そんなにおいを読み取ることもできます。

銀行ローンなどの競売不動産取得


融資による支払い


 競売不動産を買う人にとって、大きな障害になっているのが購入資金の捻出問題です。購入したいと考えた人は、入